2010年08月03日 追加記事

北海道新聞連載①

北海道新聞 平成22年4月22日生活面掲載
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「農を楽しむ」-西條さんの菜園便り ①循環する暮らし
 近年、家庭菜園がブームになっています。僕も友人を道連れに菜園生活の仲間入りをして今春で4年目。現在、札幌市東区にある農地約1ヘクタールを借り、9組の家族(グループ)で共同運営しています。
 僕たちの農園では、それぞれが自由に耕作する菜園作業のほか、毎月1回の共同作業日(自主参加)を設け、周辺の草刈り、堆肥用の落ち葉集めなどを行います。また、トラクターや耕運機は共同利用し、燃料代なども会費でまかないます。
 グループには特に決まりはないけれど、無農薬、無化学肥料、除草剤も使わない有機栽培が信条。自分で栽培した安心野菜が並ぶ食卓は、健康的な暮らしには欠かせないもので、恥ずかしながら、「豊かな暮らしとはこういうことなのか」と、人生半ばにして感じています。同時に、同じ考えを持つ人たちが、無理せず協力し合うことで、菜園生活をより楽しめる、ということも実感しています。
 僕たちの農園では、毎年4月、ごみ拾いで畑開き。菜園仕事は土起しで始まります。
 この際、堆肥や有機肥料をすき込むのですが、化学肥料を使わない有機農法には、肥料自体を一切使わない方法や、畑を耕さない方法などもあるので、各自がそれぞれのやり方を選び、実験気取りで楽しんでいます。
 僕は昨年、鶏ふんや牛ふんなどの動物性の肥料は使わずに、米ぬかや油かすの植物性肥料のみを、ほんの少しだけ使って、野菜作りに挑戦しました。タマネギ・ジャガイモ・ニンニクといった根菜類から果菜、葉菜、ハーブなど約80種類の作物を栽培してみました。
 結果的に、育ちがいまひとつの作物もありましたが、これが気候のせいなのか、肥料のせいなのか、未熟な私には判断できません。でも、今年もこりずに、再度、チャレンジしてみるつもりです。
 さらに、今シーズンは強い味方が加わります。冬の間中、僕の会社の事務所の片隅に置いておいたコンポスト容器の中で、コーヒーやお茶葉、野菜くずを、ミミズたちがせっせと食べて作り出した貴重な堆肥と液肥です。
 また、昨年秋に、山から集めて来て積み上げておいた落ち葉堆肥、近所の田んぼで集めてきた稲ワラ、米屋さんの米ぬか、わが家のまきストーブの木灰なども使う予定です。
 僕は、自分の身近にある資源を生かした野菜作りを心がけることで、循環する暮らしを実感できるようになった気がします。僕たちが食べたものが分解され(堆肥などの肥料)、栄養(作物)として戻ってくるのです。
 連休前には、いよいよ土起こし。今年もまた、楽しい季節がやってきました。
(西條正幸・ビオプラス西條デザイン代表)
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昨年、有機農法で栽培した作物
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翌年の耕作に備えて堆肥を積み込む仲間たち(昨年末)

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「西條さんの菜園だより」は、毎月第2・4木曜日北海道新聞に掲載されます。