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2010年11月12日

北海道新聞連載⑭

北海道新聞連載記事です。
北海道新聞 平成22年11月11日生活面掲載
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「農を楽しむ」-西條さんの菜園便り ⑭「晩秋の楽しみ」
 晩秋になると、菜園生活の楽しみも少なくなってきます。 僕達の有機農園では、今年最後となる月1回の共同作業日を迎えました。(実際には7日です)
この時期の楽しみの一つは、来シーズンに向けての種取り作業です。
まずは、豆。収穫して乾燥させておいた、種豆用マメの皮を剥いて種をとりだします。カサカサした感触とマラカスのような乾いた音は、気持ちが軽やかになるようでとても好きです。さやを食べる豆類も良いですが、完熟の豆も種類がたくさんあり、見ているだけでも楽しくなります。僕の菜園で今年栽培した豆類は、枝豆(茶豆)、白花豆、スナックエンドウ、5種類のインゲンです。枝豆は、背丈ばかりが伸びて肝心の実入りはさっぱりで、トウモロコシとの混植の成果は、見られませんでした。 今年初めて栽培した、白インゲン(銀手亡)は、有機農家さんから、食用に買った豆の残りを、そのまま種豆にしてみました。ちゃんと育つのか、不安だったのですが、約1,5㎏を収穫することが出来ました。来年の種を残して、残りは自家製の保存用トマトと一緒に、スープなどの煮込み料理で頂きます。
レタス・シュンギク・ルッコラなど、葉菜類の採種も大切です。注意するのは、アブラナ科野菜の種を採取する場合です。近くに他のアブラナ科野菜があると交配しやすいので、あらかじめ離したところで、種取り用に育てます。
混植用のマリーゴールドとナスタチウムの種取りは、畑を片付けながら、最後の仕事になります。毎年、霜が降りるまで花を咲かせているので、直前で刈り取ります。マリーゴールドは花冠ごと摘み取り、ナスタチウムは片付けたあとに落ちた種を拾い、乾燥させて保存します。
そして、亜麻も大切にしている植物です。毎年畑の一角を、小さなムラサキの可憐な花が彩ります。茎ごと刈り取って逆さにつるし、しばらく乾燥させます。小さく丸い果皮に小さな種が入っていて、取り出すのはひと苦労です。10年以上前、ドイツの自然健康塗料メーカーを視察した時、工場の周りでは、契約栽培されている亜麻畑が広がっていました。僕が仕事で、自然素材の住宅や家具を作る時に使う天然塗料の主原料は、亜麻の種を搾った亜麻仁油なのです。種を増やし、いつか自家製の亜麻仁油で塗料を作るのが、この頃からの夢でもあります。
最後に、一番大切に育てたのは、2種類のズッキーニです。種を取る株を決めて、元気の良いズッキーニだけを、大きくなるまで育てました。先月収穫していた実から、いよいよ種を取る日が来ました。 自然栽培の農家さんが、スプーンを使い大切に種を取っている姿を見て、今年は僕も真似をして見ました。 やさしくすくった種についた果肉を、水できれいに洗い、乾燥させて保存します。 無農薬・無化学肥料、そして種は自家採取で野菜作り。楽しみはさらに広がります。
(西條正幸・ビオプラス西條デザイン代表)
kyoudo-.jpg札幌市丘珠有機農園での今年最後の共同作業。
倉庫の片付けと壁の塗装です。
zukki-nitane.jpgズッキーニはブラックビューティーとシマシマ模様のココゼリの2種類から種を取りました。
自家採取用の野菜は、交配種でなく固定種から育てます。